今必要なもの

部屋に入ると、うーん、この雰囲気はラブホじゃありません。
パンダ「すごいね、まるで旅館に来たみたい」
PRI「こうやって座椅子にもたれて庭を眺めてると、旅行に来てるみたいだ」
パンダ「旅行、楽しみだね」
PRI「うん、僕はこのところ毎日、旅行のことばかり考えてるよ」
一瞬、間を空け、ふと目線を外した彼女、ぽつりとクチを開きました。
パンダ「PRIさん、大切なお願いがあるんだけど…」
PRI「えっ、旅行のこと?」
突然、不安が過ぎります。
パンダ「二月に大きな撮影の仕事があるって、こないだ言ったでしょ」
確かに、彼女は1月16日(id:PRI:20050116)のデートでそう語っていました。
パンダ「あの予定、なしになっちゃったの」
PRI「すると…、ぽっかり空いちゃうのか」
パンダ「時間もだけど、入るお金の予定もなくなって…」
沈黙…。重い空気が流れます。
パンダ「お願い。二月、逢う回数を二回増やして、助けてもらえないかな?」
PRI「うーん…。今月、前倒ししたよね?」
これも、1月16日のデートで決めたことです。二月分の二回を一月で先に逢うことにし、今日で、その分のカードはすでに切り終えています。
パンダ「そう、この時期じゃ難しいよね。旅行もあるし…」
PRI「今、パンダちゃんにとって、本当に必要なんだよね。だったら、優先順位で判断するしかないよ」
パンダ「じゃあ…」
PRI「うん、旅行は延期。今、必要なことに充てよう」
パンダ「本当に…、無理言ってごめんなさい」
突如、覆われる虚脱感。ここしばらく見ていた夢が、一気に崩れ去った思いでした。
終わった宴の散らかった食器を片付けるかのように、彼女に貸した観光ガイド本を引き取ります。