愛が乏しい生活

PRI「さっきの話の続きなんだけど…。僕の昔からの友だちで、彼氏と同居してもう4年になる女の人がいて、その人が似たような話で悩んでるんだよ。生活の面倒を見てもらってて、経済的な不自由は感じないそうなんだけど、彼女は最近、彼氏からの愛情を感じられなくなってしまった状態らしい」
パンダ「一緒に住んでるの?」
PRI「うん。籍は入れてないけど夫婦みたいな感じだと思う」
パンダ「彼氏はどんな人なんだろう?」
PRI「彼女と近い歳なんだけど、相当に稼ぎは良いみたい」
パンダ「PRIさんみたいに忙しそうだね」
PRI「平日は夜遅かったりで、一緒に居られる時間は少ないかも知れないね」
パンダ「籍を入れずにずるずるは不安だよね」
PRI「うん、そうだろうね。同居してたら、3年くらいが節目かなあって僕は思う。でも、オトコって奴は、籍を入れるのは形式的なものに過ぎずどうでもいいって考えやすいのかも。若い時期は特にそう考えるんじゃないかな」
パンダ「愛情への疑問って、どんな感じなの?」
PRI「決定的だったのが、彼氏、フーゾクに通ってるらしくって、女のコの名刺を彼女のすぐ目に付く場所に置いてたらしい。それも1度だけじゃないんだって」
パンダ「そうなの…。PRIさんはその彼氏のこと、どう思ったの?」
突然、矛先が僕に向けられました。
PRI「もし愛情が薄れているとしたら、なぜ、ずっと生活の面倒を見ているのかが疑問だね。もしかすると、経済的負担が、イコール、愛情の証明のつもりでいるのかも知れない」
こう彼女に語りながら、僕は他人事ではないような気がしました。お金はお金であって、愛の代用にはなりません。
パンダ「何のために同居してるか分からないような関係だとしたら、不幸だよ」
PRI「うん、ずばり、彼女の悩みもそこにあるよね。でもね、彼女、その話を女友だちに話したら、誰しも返ってくる返事は、何も不幸じゃないだろ、だってさ」
パンダ「えっ? どうして??」
PRI「稼ぎの良い彼氏と、経済的に何不自由なく暮らしているんだから、文句の言いようはないってのが、彼女の友だちの統一見解らしいよ」
パンダ「悪いけど、その彼女、交友関係に問題あるよ。PRIさんはその彼女に、どんなアドバイスをしたの?」
PRI「うん、幸せに疑問を持つんだったら、逃げたり流されたりしないで、前向きに良くすることを考えるべきだって、言ったよ。他の人の判断がどうあれ、自身で納得いく答えを見つけるべきだし、それは二人で解決すべきことだし…」
パンダ「うん、うん。でも、もしも別れることになったら、経済的に自立しなきゃいけないでしょ?」
PRI「そう、彼女の辛さはそこにもあるんだと思う。ITスキルを持った人だから、仕事は就けないわけじゃないんだけど、彼女、カラダが弱いんだよね。IT系ってある意味、体力勝負みたいな面があるものね」
パンダ「データエントリーみたいな仕事だったら時間枠きっちりだと思うけど、やってて楽しくないしね。せっかくスキルある人なら、やりがいあって、報酬も良いお仕事したいと思うし…」
この後、話題は女性の仕事の話へ移ります。留学や海外滞在で諸外国の様子を見ている彼女にとって、今の日本は、溜め息出るばかりの状況なのでした。政治が悪いと言ってしまえばそれまででしょうが、旧態依然の男中心社会を何とかしない限り、回り回って、男側も不幸を背負い込む有り様なのが、今の日本という気もします。