二人のパスポート

Webの天気予報では本日の最高気温8℃、寒いです。
防寒対策よろしくばっちり着込もうと、もたもたしてるうち、家を出る時刻が遅まった感。大急ぎで待ち合わせ場所に直行。約束時刻の1分過ぎ、なんとか到着。彼女の姿を見つけると、ちょうど、ケータイをダイヤルし耳に当てるタイミング。息を切らせながら彼女の後ろ姿へ駆け寄りました。
PRI「パンダちゃん!」
パンダ「えっ? ぴっくりしたあ。今、PRIさんに電話するとこだったんだよ」
PRI「ごめん、脅かした?」
パンダ「うん、こういうシチューエーション、弱くって…(笑)」
彼女にはちょっと申しわけないのですが、いつもの凛とした美人の笑顔も素敵だけど、はっとしたときの無防備な顔がまた、すごく可愛いのです。たぶん、このときの僕は目尻下がりっぱなしだったことでしょう。
ともかく、いつ来るかドキドキ待たせてしまっても申しわけないので、次回からはちゃんと、駅に着いた時点でいったん電話を入れなきゃなあと思ったのでした。
いつものホテルに着くと、空き室は5つ。うち、テーブルの広い部屋は2つ。色彩感覚で良い方を彼女に選んでもらいます。
さて、このホテルには系列店共通のスタンプカードがあり、前回、見事に10個溜まっています。12月11日(id:PRI:20041211)の話で出たように、5回目はハンカチでしたが、10回目はホテル料金の割引特典が受けられます。早速、溜まったスタンプカードをフロントに渡し、キーを受け取りました。
PRI「スタンプカードに書いてあるけど、割引は、最初に見せないとダメなんだよね」
パンダ「そんなの、普通は気付かないよね。ヤクザな人だったりしたら、話が違うって怒り出すんじゃない?(笑)」
PRI「そういう人はたぶん、スタンプカードなんてちまちましたもの、溜めないよ(笑)」
半ば自嘲気味ですが、僕らオトコというのは女のコの前ではエエカッコしたがりです。食事は万札だけでぽんと払い、釣りは要らないよと告げることこそ、イイオトコの条件と思いがちです。
とびっきりの美人である彼女、エエカッコしいのオトコは今までさんざん見てきており、そういうオトコに限って、裏表の情けなさを見てきてゲンナリするとのこと。
自分に正直であれ。そう、僕は心でつぶやきました。
パンダ「早いね、もう10回も来てるんだね」
PRI「うん、楽しいことって、あっという間だよね」
ちまちましたスタンプカードは今の二人にとって、あたかも旅行の入出国で押印されるパスポートのような、大切な存在になっていました。
PRI「そうそう、この部屋、以前入ってるよ。良かったとこのはず」
パンダ「すごい。今まで入った部屋番号、全部ちゃんと覚えてる?」
PRI「いやあ、実はこの部屋番号、僕の自宅の部屋番号と同じなんだよ(笑)」
パンダ「なーんだ(笑)」
彼女を僕の自宅に招くことは、当分無理と思っています。なぜなら、僕の住まいは西川口。彼女にとって、その地はフーゾクとして働いた街であり、できることなら駅を降り立つことさえ憚られる場所なのです。